25 西郡行の電車

甲府驛前より市の賑やかさにしたりながら[# ママ]貢川に至り、甲府平原の西部に半圓を描いて、鰍澤驛に至るのが山梨電鐵である。狹い道路に大きい車体、スピートはスローエンドスロー、それだけに車窓から市内見物は充分出來る。
町を出拔けると無限につゞく桑園の間をフルスピート、追分驛より下車して昌福寺、妙法寺に詣で、鰍澤より西山温泉に行くもよく、又急流富士川を下るも實に壯快であらう。この電車の開通に依て西郡方面に於ける文化系統に一大變化を來たし、所謂原七郷の文化史上に太い一線が劃された。

(古屋茂男)


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