34 白堊の高工

サイレンが峽中の晝を告げる。
前庭のそてつ[# 「そてつ」に白傍点]の樹が異國情調をそゝる。が僕の全機能は食欲をそゝる許りだ。それはさておいて本縣唯一の專門[# 原本では「問」となっている]學校……山梨高工……のプロフイルを紹介する。清らかな白堊の一廓には機械と、電氣と、土木の三科があり、それに學ぶ學徒は高らかに青春を讃へてゐる。プロフエツサー五十餘。機械設備フルマーク。新らしい甲府の一面を飾るさゝやかな、カレツヂライフ的存在が象徴されてゐる。と彼氏は云ふのです。
斜斷して行く雲の構作美の下、こゝにもスポーツは高鳴つてるんです。

(保坂勝三)


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