18 銀行風景

年額二、三千萬圓の生糸。千五、六百萬圓の甲斐絹。[# 原本では改行されているため「。」がないので入れた]この外水晶、葡萄等の生産加工を資け、更にこれが取引と一般の金融を圓滑ならしめるのが銀行の任務だ。版畫は第十銀行で今は株式會社だが、其の昔は第十國立銀行として設立され、本邦銀行界に於ける貯蓄預金事業開始者として、光輝ある歴史のホルダーだ。裏に見ゆるは舊舘、其の裏には倉庫が續いてゐる。左側に高く聳える松は鶴、其の下のは龜、年と共に緑を増して永遠の繁榮をシンボライズするかの如く見える。
この外市内には有信、大森、山梨貯蓄、勸業支店、安田支店等の本支店があり、それ/″\金融機關としての全能を發揮してゐる。

(村松晴時)


前頁  次頁