山梨市下井尻西上組・どんど焼き

 山梨市下井尻のどんど焼き行事では、「おこや」と呼ばれるわら小屋を作る。同地区の西上組では、伝統的に中学生以下の子供達が組内の家庭を回り、小屋の材料となるわら、竹、薪(ここでは「もしき」と呼ばれる)をもらい集める。この作業を昔は、「木勧進」(「きっかんじょ」と呼ぶ)といったが、現在では、「きっかんじょ」は小正月の前の晩に、組内の家庭を回り、祝い言葉を申して、金銭をもらって歩くことの意味に使われる。祝い言葉は以下の様である。
 「きっかんじょ、きっかんじょ、お祝いもうせ。家内安全、農業繁盛(または商売繁盛)」
 小屋作りのリーダーは「親方」と呼ばれ、中学3年生から選ばれる。親方は、小屋作りの指揮をするほか、きっかんじょで得た祝い金の分配を行う役目もする。

■山梨市下井尻西上組の道祖神は、丸石の数の多さと礎石の石組が大きいことで知られる。「おこや」と呼ばれるわら小屋は、道祖神隣の「道祖神場」という専用の空き地が確保されている。
 おこやは、切り妻式で、昭和30年代頃までは、内部にいろりを設けて、餅をやいたり、甘酒を暖めて呑んだり、遊びの場となっていた。現在は、どんど焼きの火勢を強めるため、果樹の剪定枝を詰め込んでいる。




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