+-----------------------------------------------------------------------+ | JPNIC公開文書著作権表示 (Copyright notice of JPNIC open documents) | | | | この文書はJPNIC公開文書であり、著作権は日本ネットワークインフォ | | メーションセンター(JPNIC)が保持しています。JPNIC公開文書は誰でも | | 送付手数料のみの負担でJPNICから入手できます。また、この著作権 | | 表示を入れるかぎり、誰でも自由に転載・複製・再配布を行なって構 | | いません。 | | 〒101-0052 東京都千代田区神田小川町1-2 風雲堂ビル1F | | (社)日本ネットワークインフォメーションセンター | +-----------------------------------------------------------------------+ "White Paper" 翻訳文 (ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/domain/white-paper.txt) (社)日本ネットワークインフォメーションセンター 最終更新 1998年 9月 22日 この文書は http://www.ntia.doc.gov/ntiahome/domainname/6_5_98dns.htm を翻訳したものです。米国著作権法第105条により、同文書には著作権があり ません。JPNICはこの翻訳を参考のために提供しますが、その品質に責任を負 いません。 ------------------------------------------------------------------------ インターネットドメインネームシステムの管理についてのこのドキュメントは、 一つのポリシー声明である。このドキュメントと後から発表されるフェデラル・ レジスタの内容に相違点は生じないはずであるが、もし、相違点がある場合は、 フェデラル・レジスタの内容が優先される。このペーパーは、現在、インター ネットのみを用いて公開されている。これは、このドキュメントに対する一般か らのアクセスを促進するためである。 ------------------------------------------------------------------------ 米国商務省 インターネットの名前およびアドレスの管理 記録番号:980212036-8146-02 担当機関:電気通信情報局(NTIA) 機能:ポリシー声明 要約:1997年7月1日、クリントン政権の「地球規模での電子商取引の枠組み (Framework for Global Electronic Commerce)」(注1)の一部として、米大統 領は商務長官に対し、ドメインネームシステム(DNS)について、その競争を高 め、また、その管理における国際的参加を促進する形で民営化するよう指示し た。 これを受けて、1997年7月2日、商務省は、DNS 管理に関するコメント要請 (Request for Comments = RFC)を出した。この RFC は、DNS 管理の全体的な枠 組み、新しいトップレベルドメインの創設、レジストラに関するポリシー、そし て、商標問題に関しての一般からの意見を求めるものであった。期間中、430以上 のコメントが寄せられ、ページ総数は約1,500ページに上った(注2)。 1998年1月30日、商務省の一機関である電気通信情報局(NTIA)は、「インター ネットの名前およびアドレスの技術的管理の改善についての提案」というコメン トを発表した。提案された規則制定手続き、いわゆる「グリーンペーパー」は、 1998年2月20日、フェデラル・レジスタで発表され、一般からのコメントを求める 機会が設定された。NTIA は、コメント受付終了日である1998年3月23日現在で、 650以上のコメントを受け付けた(注3)。 グリーンペーパーは、インターネットの管理において、しっかりとした競争を作 り出し、また、全地球的な参加を促進することを考慮に入れた形で、インター ネットの名前およびアドレスの管理を民営化するための行動計画を提案した。ま た、グリーンペーパーは、DNS管理に関連する様々な問題について議論することを 提案した。その中には、新しい非営利法人(「新法人」)の民間による創設も含 まれている。この新法人は、地理上(全地球的)・機能上の代表者達である「理 事会」によって管理されるものである。 発効日:このポリシーの一般声明は、合衆国法律集タイトル5セクション553(d)に 基づき、実体規則の発効日に必要とされる猶予期間を設ける必要はない。このポ リシー声明には、義務的条項は含まれておらず、また、それ自体法的効力は有し ていない(注4)。したがって、このポリシー声明の発効日は[フェデラル・レジ スタの発行日を挿入]である。 (訳者注釈:  U.S.C = 合衆国法律集  5 U.S.C. = TITLE 5 - GOVERNMENT ORGANIZATION AND EMPLOYEES  5 U.S.C. Sec 553(d) = PART I - THE AGENCIES GENERALLY / CHAPTER 5 - ADMINISTRATIVE PROCEDURE / SUBCHAPTER II - ADMINISTRATIVE PROCEDURE  U.S.C. については、例えば を参照のこと。) 詳細情報の連絡先:Karen Rose, Office of International Affairs (OIA), Rm 4701, National Telecommunications and Information Administration (NTIA), U.S. Department of Commerce, 14th and Constitution Ave., NW, Washington, D.C., 20230. Telephone: (202) 482-0365. E-mail: dnspolicy@ntia.doc.gov 法源:15 U.S.C. Sec 1512; 15 U.S.C. Sec 1525; 47 U.S.C. Sec 902(b)(2) (H); 47 U.S.C. Sec 902(b)(2)(I); 47 U.S.C. Sec 902(b)(2)(M); 47 U.S.C. Sec 904(c)(1). (訳者注釈:  15 U.S.C. = TITLE 15 - COMMERCE AND TRADE  15 U.S.C. Sec 1512 = CHAPTER 40 - DEPARTMENT OF COMMERCE / Sec 1512. Powers and duties of Department  15 U.S.C. Sec 1525 = CHAPTER 40 - DEPARTMENT OF COMMERCE / Sec 1525. Special studies; special compilations, lists, bulletins, or reports; clearinghouse for technical information; transcripts or copies; cost payments for special work; joint projects: cost apportionment, waiver  47 U.S.C. = TITLE 47 - TELEGRAPHS, TELEPHONES, AND RADIOTELEGRAPHS  47 U.S.C. Sec 902(b)(2)(H) = CHAPTER 8 - NATIONAL TELECOMMUNICATIONS AND INFORMATION / SUBCHAPTER I - ORGANIZATION AND FUNCTIONS / Sec 902. Establishment; assigned functions  47 U.S.C. Sec 904(c)(1) = CHAPTER 8 - NATIONAL TELECOMMUNICATIONS AND INFORMATION / SUBCHAPTER I - ORGANIZATION AND FUNCTIONS / Sec 904. General administrative provisions) 補足情報 背景 ドメイン名は、インターネット上にあるコンピュータに付けられた親しみやすく 覚えやすい名前である(例えば、"www.ecommerce.gov")。これらドメイン名は、 ユニークなインターネットプロトコル(IP)番号(例えば、98.37.241.30)に マッピングされる。IP番号とは、インターネット上におけるルーティング(経路 制御)のためのアドレスとして機能するものである。ドメインネームシステム (DNS)は、ドメイン名をIP番号に変換するものであり、これによって、ネット ワーク上での情報転送が可能となる。 DNSの発展における米国の役割 米国政府は、25年以上前から、パケットスイッチング技術およびコミュニケー ションネットワークの開発に必要となる研究に対して資金をつけ始めた。これ は、1960年代、米国防総省のDARPA(国防総省高等研究計画局)によって構築され たARPANETネットワークに始まるものである。ARPANET は、その後、他の政府機 関、大学、研究機関によって構築されたネットワークと接続された。1970年代を 通じて、DARPA は「ネットワークのネットワーク」の開発にも資金をつけた。こ れがインターネット(the Internet)として知られるようになり、また、ネット ワーク間での相互通信を可能とするプロトコルがインターネットプロトコル (IP)として知られるようになった。 カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)との間で契約された ARPANET 開発 作業の一部として、Dr. Jon Postel(当時同大学の大学院生)は、ホスト名とア ドレスのリスト、並びに、RFC(Requests for Comments)と呼ばれる ARPANET 研 究者達によって作成されるドキュメントのリストを維持管理する仕事を引き受け た。これらのリストと RFC は、SRI インターナショナルを通じてネットワークコ ミュニティで入手可能な状態となった。SRI インターナショナルは、ネットワー クインフォメーションセンター(the NIC)の業務を行うために交わされた DARPA との契約(後に国防通信局(DCA)との契約、現在は国防情報システム局 (DISA)との契約)に基づいてこれを行った。 Dr. Postel は、UCLA から南カリフォルニア大学(USC)情報科学研究所(ISI) に移ってからも、DARPA との契約に基づき、割り当てられたインターネット番号 と名前のリストを維持管理し続けた。SRI インターナショナルは、それらのリス トの公開業務を継続した。これらのリストが非常に大きなものとなってきたた め、DARPA は、Dr. Postel に対して、それらリストの維持管理における追加的な 管理業務を Dr. Postel の継続的な技術的管理のもとで SRI に委任することを許 可した。Dr. Postel は、DARPA との契約のもと、プロトコル開発者の使用のため に割り当てられていた技術パラメータのリストの公開業務も行った。最終的にこ れらの機能が集合的にインターネット・アサインド・ナンバーズ・オーソリティ (IANA)として知られるようになった。 1980年代初頭まで、インターネットは DARPA によって管理され、主に研究目的で 利用されていた。それにもかかわらず、名前のリスト管理業務は面倒なものとな り、その処理を改善するためにドメインネームシステム(DNS)が開発された。 DARPA は、DNS で使用される技術と運用方法について、その展開と確立を進め、 Dr. Postel と SRI はそれに参加した。1990年までに ARPANET は完全に姿を消し た。 全米科学財団(NSF)は、米国における基礎的な科学研究 、工学、教育活動を支 援し強化することについての法的な権限を持っている。これには、研究教育機関 を接続するコンピュータネットワークの維持管理も含まれている。1987年、IBM、 MCI、Merit は、NSF の助成のもと、インターネットプロトコルをベースにした全 米規模の高速ネットワークである NSFNET の開発に着手した。最も巨大な米国政 府ネットワークである NSFNET は、4,000以上にのぼる全米の研究教育機関で使わ れている複数のネットワークに対して「バックボーン」を提供した。米国航空宇 宙局(NASA)および米国エネルギー省もまたバックボーン設備を提供した。 1991〜92年、NSF は、インターネット・インフラストラクチャの非軍事部分の管 理についての調整と資金供給についての責任を負うことになった。 NSF は、ドメ イン名登録業務を含む様々なインフラストラクチャ業務の提供について競争力の ある提案の提出を求めた。1992年12月31日、NSF は、ドメイン名登録業務を含む 幾つかの業務に関してネットワークソリューションズ社(NSI)と協力契約を結ん だ。この時以降、NSI は、インターネットドメインネームシステムにおいて重要 な登録、調整、維持機能の管理を行っている。NSI は、一般トップレベルドメイ ン(gTLD)において申請順にドメイン名の登録を行い、また、ドメイン名とそれ ぞれのネームサーバーの IP番号とを結びつけたディレクトリーを管理している。 NSI は現在、インターネットにおける登録の権威ある(authoritative)データ ベースの管理も行っている。 1992年、米国議会は、NSF に対して NSFNET 上における商業的活動を認める法的 権限を与えた(注5)。これによって、NSFNET と新しく生まれつつあった商用 ネットワークサービスプロバイダーとの接続が促進され、今日のインターネット への道を切り開くことになる。このように、米国政府は、今日知られているイン ターネットを形成する上で中心的な役割を果たしてきている。米国政府は、ネッ トワーキング技術のボトムアップによる開発を一貫して奨励しており、その発展 の過程を通じて、世界中のコンピュータ科学者達が、インターネットを豊かなも のにし、また、その真の可能性の開拓を促進してきているのである。例えば、ス イスの CERN の科学者達によって、今日活発に利用されている World Wide Web の基礎を構成するソフトウェア、プロトコル、各種取り決めが開発されたのであ る。この種の先進的なインターネットの研究開発は、世界中の機関やコンソーシ アムの協力によって現在も続けられている。 今日の DNS 管理: ここ数年で、インターネットの商用利用が急速に拡大してきている。しかしなが ら、旧体制の遺産として、ドメインネームシステムの大きな部分は、今だ米国政 府機関との契約に基づいて運営されている。 1)インターネットユーザーに対する数値アドレスの割り当て インターネット上のすべてのコンピュータには、ユニークな IP番号が付けられて いる。IP番号の割り当ては、Dr. Jon Postel が率いる IANA が調整し、アドレス ブロックを地域IPレジストリ(北米はARIN、ヨーロッパはRIPE、アジア太平洋は APNIC)に割り当てることによって実行されている。この作業は、DARPA との契約 に基づいて行われている。これを受けて次に、大規模ISP(インターネットサービ スプロバイダー)が地域IPレジストリに対して IPアドレスブロックの割り当てを 申請する。アドレスブロックを割り当てられた大規模ISP は、その中から、小規 模ISP に対してアドレスを割り当てることになる。さらにそれはエンドユーザー への割り当てへとつながる。 2)インターネットユーザーのための名前登録システムの管理 ドメイン名空間は、階層構造となっている。ドメイン名空間はまず、複数のトッ プレベルドメイン(TLD)に分割され、さらにそれぞれの TLD は複数の第2レベル ドメイン(SLD)に分割され、さらにこの構造が続いていくという具合である。現 在、200以上の国別TLD、すなわち国コードTLD(country-code TDL = ccTLD)が、 各国政府、または、各国政府の適切な承認のもと民間組織によって管理されてい る。また、数少ない gTLD は、いかなる国の識別子ももっていないものの、ドメ イン空間における意図された役割を表わしている。例えば、.com は商業ユーザー のために、.org は非営利組織のために、.net はネットワークサービスプロバイ ダーのために作られたものである。これらの主要な gTLD の登録と普及活動は、 NSFとの5年間の協力契約に基づいて NSI が担っている。この契約は、1998年9月 30日を終了期日としている。 3)ルートサーバーシステムの運用 ルートサーバーシステムは、13のファイルサーバーで構成され、すべての TLD を 並べた権威のあるデータベースを収容している。現在、NSI が "A" ルートサー バーを管理している。"A" ルートサーバーは、権威のあるルートデータベースで あり、そこに加えられた変更は日次ベースで他のルートサーバーに複製されるよ うになっている。NSI、並びに、その他の組織が、残りの12のルートサーバーを管 理している(注6)。米国政府は、世界のルートサーバーの約半分の管理を担って いる。インターネットにおける普遍的な名前の一貫性は、これら権威のあるルー トサーバーとそれに対して一貫性を持つ一連のルートサーバーの存在なしには保 証することはできない。このような一貫性がなければ、インターネットのメッ セージは正しい目的地に確実に経路制御されないであろう。 4)プロトコルの割り当て IETF(Internet Engineering Task Force)で決められるインターネットプロトコ ルスイートには、数多くの技術的パラメータが含まれている。このパラメータに は、プロトコル番号、ポート番号、AS(Autonomous System)番号、MIB (Management Information Base)識別子、その他が含まれる。インターネットコ ミュニティにおいてこれらのプロトコルを共有していくためには、それぞれに使 われる値がユニークに割り当てられる必要がある。現在、これらの割り当て、お よび、そのレジストリ管理は、DARPA との契約のもと IANA が行っている。 変化の必要性 米国を基盤とした研究ネットワークとして誕生したインターネットは、現在、国 際的な商業、教育、通信のメディアへと急激に変化している。その技術的な諸機 能を組織化する手段も従来の伝統的なものから進展する必要がある。今、変化を 求める圧力が様々なところから出ている。  −ドメイン名登録において競争がないという不満が広がっている。  −商標権者とドメイン名保有者との間の紛争が普通に起きるようになってきつ   つある。これらの紛争解決の仕組みは、費用がかかり、また、扱いにくいも   のである。  −多くの商業的な組織は、自らの未来をインターネットの実りある成長に賭け   ており、より秩序だった強固な管理構造を求めている。  −米国以外のインターネットユーザーの割合がどんどん大きくなっており、こ   れらの利害関係者はインターネットの調整活動に参加したいと考えている。  −インターネットの名前が次第に商業的な価値を持つにつれて、新しい TLD の   創設を、インターネットコミュニティーに公式に責任を持っていない組織や   個人が臨時(ad hoc)ベースで決定する状況ではなくなってきている。  −インターネットが商用化されるにつれて、米国の研究機関が指示を出したり   資金提供を行うことは適切ではなくなってきている。 インターネットの技術コミュニティーでは、ここ数年間、DNS 管理ポリシーにつ いて活発に議論が行われてきている。既存のドメインとは相いれない一連の代替 的なドメインの登録サービスを提供する実験的なレジストリシステムが1996年1月 に開発されている。インターネットユーザーのほんの一部にしか見えないもの の、name.space、AlterNIC、eDNS 関連レジストリ(注7)のような代替的システ ムは、DNS管理の発展に関するコミュニティーの対話に貢献してきた。 1996年5月、Dr. Postel は、独占的で競争的な複数のトップレベルドメイン名レ ジストリの創設を提案した。この提案は、最高50までの新しいドメイン名レジス トリの導入をすること、そして、各レジストリに最高3つの新しいトップレベルド メイン(したがって、合計で150の新TLD)での名前登録を行う独占権を与えるこ と、を求めるものであった。この提案を支持するものがいる一方、インターネッ トの技術コミュニティーからは多くの批判を招いた(注8)。この提案は、修正が 加えられ、再度発表された(注9)。インターネットソサエティ(ISOC)の理事会 は、1996年6月、実質的にはそのドラフト版と変わらないが、それを若干修正した ものを、原則として支持することを表明した。 かなり多くの議論とドラフトの書き直しによっても DNS の変化に関するコンセン サスが得られないという状況を経て、1996年9月、IANA と ISOC は、DNS 管理問 題を解決するために、国際臨時特別委員会(IAHC)(注10)を組織した。 世界知 的所有権機関(WIPO)、国際電気通信連合(ITU)が、IAHC に参加した。 フェデ ラル・ネットワーキング・カウンシル(FNC)は、IAHC の一番初期の議論に参加 した。 IAHC は、1996年12月、DNS 管理の発展のために、ユニークでかつ熟慮された概念 を導入するという計画案を発表した(注11)。その最終報告書では、当初7つの新 gTLDを創設し、それらをレジストラ協議会(CORE)(注12)と呼ばれる新しい民 間レジストラのコンソーシアムが非独占的に運用するとした一つの覚書(MoU)が 提案された。ポリシー管理については、ポリシー管理委員会(POC)と呼ばれる別 の協議会が実行することになっており、この POC には特定の利益関係グループの 代表が席を割り当てられていた。さらに、この計画案は、商標とドメイン名の紛 争を解決するための仕組みを正式に導入するものであった。この MoU のもとで は、第2レベルドメインの登録者は、商標権者との間で紛争が起きた場合、WIPO によって進められる調停や仲裁に従うことが必要とされている。 IAHC の提案は、インターネットコミュニティの多くの人々の賛同を得たものの、 その一方、技術開発およびその実施についての非常に強行なスケジュール、イン ターネットのエンジニア達によって支配されていたこと、そして、インターネッ トコミュニティにおけるビジネス関係者やその他の人々の参加や意見が欠如して いたということで、IAHC の進行手続きは非難の的となった(注13)。中には、大 きな不満の原因である競争問題を解決できなかったことについて、また、商標権 者に不要な負担を課していることについて、この計画案を非難する者もいた。 POC は当初の計画案を修正したり、非常に大きな範囲で柔軟性を示すことによっ て、それらの非難に応えたが、当初の計画案およびその計画案によって展開され る手続きに対する非難を覆すことはできなかった(注14)。インターネットコ ミュニティの重要な人々が、IAHC の手続きの外におり、彼らはIAHC はインター ネット全体を十分に代表していないと非難した(注15)。 DNS 管理を変えなければならないという圧力の結果、また、DNS 管理からの自ら の撤退を促進するために、米国政府は、米国商務省および NTIA を通じて、1月 30日にグリーンペーパーを発表し、DNS に関する米国のポリシーの方向性に関す るパブリックコメントを求めた(注16)。グリーンペーパーで述べられているア プローチは、初期の Postel のインターネットドラフトや IAHC の gTLD-MoU な ど他の提案書の要素を取り込んだものであった。 コメントと レスポンス:以下にあげるのは、NTIAが発表した「インターネットの 名前およびアドレスの技術的管理の改善についての提案」に対する返答として寄 せられたコメントのうち、主だった項目に対するレスポンスの要約である。ここ で用いられている量的な表現、例えば“幾つかの”“多くの”“ほとんどの”な どの言葉は、特定の問題に対して言及したコメントの数的な比率を大まかに示し たものであって、受け取ったすべてのコメントあるいは該当するすべてのコメン トの内容を要約しようとしたものではない。 1. 新体制の原則 グリーンペーパーでは、ドメインネームシステムの進展について、4つの原則(安 定性、競争、民間によるボトムアップ的な調整活動、インターネットを代表する こと)を明確に述べている。 コメント:コメントは全体的にこれらの原則を支持している。中には、一つまた は幾つかの原則の重要性を強調して言及しているものもあった。例えば、イン ターネットコミュニティの多様性を十分反映する機関を創設することの重要性を 訴える内容のコメントが幾つも寄せられた。また、ボトムアップ的なインター ネットガバナンスを保つことを重視する意見もあった。また、少数ながら、人権 擁護、言論の自由、オープンなコミュニケーション、公共財としてインターネッ トを維持することを新体系の原則に加えるよう提案するコメントも寄せられた。 また、インターネットの安定性という原則には賛同しながらも、こうした安定性 を確保するために米国政府が参画する必要があるという主張に異を唱える意見も いくつか出されている。 レスポンス:米国政府が打ち出したポリシーは、インターネットの名前とアドレ スの管理にのみ適用するものであり、インターネット「ガバナンス」の体系を示 すものではない。現在ある人権擁護や言論の自由などは損なわれることはなく、 したがって、DNS管理の原則の中核部分にそうした項目が個別に含まれる必要はな い。さらに、このポリシーは、すでに適用されている他の法制度(国際法、競争 法、税法および国際課税に関する原則、知的財産権に関する法律など)にとって 代わることを意図したものではない。すでにあるこうした体制と、代表(イン ターネットを代表すること)の原則とによって、DNS管理はインターネットコミュ ニティ全体を利する方向へと進むべきである。また、米国政府は、民間部門によ る運営に移行するに当たって、インターネットの安定性を確保するというステッ プ無しに自らの現在の役割から撤退することは無責任なことだと考えている。す べてを考慮すると、グリーンペーパーで示された原則を修正すべきであるという コンセンサスは寄せられたコメントからは得られなかった。 2. 調整される諸機能 グリーンペーパーでは、DNSの4つの機能が、調整された中央集中管理を基本とし て実現されるべきことを明確にした。これは、インターネットを円滑に機能させ るためである。 1. IP番号ブロックの割り当てに関するポリシーを策定し、その指示をするこ     と 2. インターネットルートサーバーシステムの運用を監督すること 3. ルートシステムに新たなトップレベルドメインを追加する条件を決定する ためのポリシーを監督すること 4. インターネットの全世界的な接続性を維持するために必要となる他の技術 的プロトコルパラメータの開発を調整すること コメント:DNSの安定性を確保するために技術的には必ずしも権威あるルートの仕 組みは必要でないとする意見も2、3寄せられたが、ほとんどのコメントは、これ らの機能が中央集中的に調整される必要性について賛同するものであった。他 方、グリーンペーパーで述べられている4つ目の機能については、現在IANAが担っ ている機能を誇張しており、それを根拠に中央管理の対象となる機能が広くなっ ているというコメントが幾つも寄せられた。これらの機能の幾つかは、現在IETF が果たしているものである。 レスポンス:ほとんどのコメントが指摘しているのと同様に、全世界的な接続性 を確保し、インターネットの運営を円滑に行うためにはこれらの4つ機能は調整さ れてゆく必要があるという認識を米国政府も持ち続けている。権威あるルートシ ステムがないと、一つの同じドメイン名を巡って複数の競合する管理元で名前の 衝突が起こる可能性が生じ、インターネットの円滑な機能と安定性が損なわれる 可能性がある。 しかし、グリーンペーパーは、インターネットプロトコルに関して現在IANAが果 たしている責任を拡張しようとしたものではない。なかでも新法人によるDNS管理 は、IETFなどの他の団体が他の様々な目的で進めているインターネットの技術的 パラメータの開発を包括的に取り込むものではない。したがって、4つ目の機能 については、以下のように言い換えるべきである。 ・インターネットの全世界的な接続性を維持するために必要となる他の技術的 パラメータの割り当ての調整を行うこと 3. 名前と番号の権威機関の分離 コメント:ドメインネームシステムの管理と、IP番号システムの管理とを分離す るべきだとする意見が幾つも寄せられた。こうしたコメントでは、番号割り当て の仕組みは比較的テクニカルで明快なものであるという考え方が表明されてい る。このような考え方をしている人々が懸念していることは、ドメイン名とIP番 号のポリシー策定の連関性が強まると、ここ数ヶ月の間ドメイン名がさらされて いるような議論にIP番号割り当ても巻き込まれてしまうのではないかということ である。彼らはまた、新たなドメイン名やIP番号システムが現在起こっている議 論によって妨げられたり、また現存の体制に既得権を持つ人々によって先延ばし されてしまうのではないかという危惧も表明している。 レスポンス:コメントで示されたこうした懸念は筋の通ったものであるが、ドメ イン名とIP番号は、インターネットの全世界的な接続性を保つために調整されな ければならないものである。また、二つの別々な管理組織を設立し運営すること は多くのコストが伴うことである。 しかしながら、これらのコメントで述べられているリスクを最小化しうる組織構 造もある。例えば、名前と番号に関する別々の協議会を、一つの組織内に設ける こともできるだろう。ポリシーは適切な協議会で決定され、それが勧告として新 たに創設される法人の理事会に提出され、そこで承認を受けるということも可能 であろう。 4. 新法人の設立とDNS管理 グリーンペーパーでは、インターネット全体を利するためにDNSの特定の機能の調 整を行う、新たな民間の非営利法人(注17)を創設することを提案した。この提 案の下、米国政府(注18)はそうした機能を可能な限り早期に新法人へと段階的 に移行し、最終的には1998年10月までに新法人がこの運用の責任を担うことを目 標としていた。また、グリーンペーパーで出された提案では、米国政府は新法人 の運営が安定するまでの間はポリシー管理に参画し、可能な限り早く、遅くとも 2000年9月30日までにはそうした関与も段階的になくするとしていた。また、グ リーンペーパーでは、新法人を米国内に設立することも提案していた。これは、 安定性を高めること、USC/ISIのIANAスタッフなどの米国内に在住する技術的な専 門家の参画を得続けることを目的としたものだった。 コメント:ほぼすべてのコメントで、DNS管理のための民間非営利法人の新設への 支持が得られた。多くの人が、IANAを新法人へと再編することを提案していた。 米国政府がインターネットの名前とアドレスの管理を続けるべきだとする意見 も、少数ながら見受けられた。また、DNS管理は国際連合や国際電気通信連合など の国際機関が行うべきだとする意見も少数あった。新法人が管理の責任を負うよ うになるまでのスケジュールを、米国政府はより短期間にするよう促すコメント が数多くあった。また、新法人の本部を米国内に置くという提案は、米国の法律 をインターネット全体に適用しようとする意図があり、適切なものではないとい う意見もあった。 レスポンス:米国政府は、民間セクターがDNS管理のリーダーシップを担うように するための移行作業に責任がある。ほとんどのコメントで、この到達目標は支持 されている。新法人が国際機関から専門的な助言を受ける可能性はあるが、多く のコメントで述べられているように、政府が主権国家としてインターネットの名 前やアドレスの管理に関与したり、政府間機関が複数政府の代表として関与した りするべきではないと米国政府は今も考えている。また、もちろん、各国の ccTLDの管理やポリシー策定の権限は従来通り各国政府が持つものである。 米国政府は、今回の移行が2000年までに完了することを望んでいる。新法人が設 立され、その運営が安定化されるという範囲において、2000年9月30日という日付 は「もっとも遅い」目安として設定されたものであるし、現時点でもそうした位 置づけを持つ日付である。 IANAは、現在では時としてかなり自由な行動をとっているが、米国政府の契約先 として機能してきているものである。さらに、IANAは正式に組織化されたもので も設立されたものでもない。IANAは、組織と言うよりも一つの機能であり、その ため現在のところ新法人設立の法的な基盤とはならない。しかしながら、これは IANAがインターネットに利害関係を有する広範囲に渡る諸団体の代表によって再 編されるのを否定するものでもなく、またIANAに関係している諸個人が新法人の 設立に際して重要な基盤としての役割を担うことを妨げるものでもない。多くの コメントでも指摘されていたが、私達は、今回の民間組織を創設する際には Dr. PostelをはじめとするIANAのスタッフの参加が必要だと考えている。 DNSに関するかなりの専門技術は米国を基盤にするものであり、その安定性を保つ ためにも、新法人の本部を米国に置くことには一定の意義がある。さらに、新法 人が米国に設立されるからと言って、他国の裁判管轄権を排することにはならな いであろう。最後に、新法人の本部は必ずどこかに置かれるのであって、他の場 所に本部が置かれることになっても、同種の反論は必ず起こるだろうということ を注記しておく。 5. 新法人の構成 グリーンペーパーでは、15名で構成される理事会を設けることを提案した。その 内訳は、地域番号レジスリの代表者が3名、IABの指名を受けた2名、ドメイン名レ ジストリおよびレジストラの代表者が2名、インターネットユーザーの代表者が7 名、そして、新法人のCEO(最高経営責任者)である。 コメント:新法人の理事会の構成については、様々な意見が寄せられた。しか し、ほとんどのコメントは、インターネットの持つ機能と、地理的な広がりを代 表する理事会の設立を支持するものであった。また大半は、グリーンペーパーの 提案の中で、理事会の構成員としてあげられていた個人や組織は、DNSの変更の影 響を実質的に受ける可能性が高いということに同意をするものであった。提案さ れた理事会のメンバー割り当てに反対する人々の多くは、彼ら自身を代表する特 定の利益グループの配分を増やすことを求めるものであった。また、グリーン ペーパーで提案されているメンバー割り当てでは、(1)商標権者、(2)インター ネットサービスプロバイダ、(3)非営利団体コミュニティーという特定の利害関係 者を適切に反映していないとする意見が幾つも寄せられた。この他、グリーン ペーパーは、理事会が全世界を代表するようになることを十分に保証していない というコメントも寄せられた。 レスポンス:グリーンペーパーでは、インターネットの多様性を反映し、かつ管 理しやすい大きさの理事会とするよう努めた。この問題に関係するすべての人々 を満足させる理事会メンバーの割り当てはおそらく不可能である。すべてを考慮 すると、特定グループの代表に関してあげられた懸念は、新法人の設立者および その理事会によって決定される「ユーザー」代表の議席の割り当てについて十分 考慮することによってうまく解決が図られるものと考えている。 グリーンペーパーでは、APNIC、ARIN、RIPE、IABなどの幾つかの国際的な会員制 組織を理事会メンバーとして指定している。私達は、インターネットの利用が米 国外へと拡大するにしたがって、オープンで透明性の高いDNS管理組織は、世界中 から理事会メンバーを選出するように益々なるであろうと考えている。ここでは 全世界を代表することに関して最低限の条件は何も定めていないが、このポリ シー声明は、「全世界を代表すること」を重要な優先事項として明確に位置づけ ることを意図している。 6. レジストラとレジストリ グリーンペーパーは、第2レベルドメインの登録システムと一般トップレベルドメ インの管理に関して、市場を中心とした二つのビジネスを作ることによって競争 原理を導入することを提案している。二つのビジネスとはすなわち、第2レベルド メイン名の登録とgTLDレジストリの管理である。 a. レジストラ間の競争 コメント:レジストラがどのgTLDにおいても顧客のドメイン名を登録できる競争 体制を作ることについては、強い賛同が得られた。この点について反対する意見 はほとんど見られなかった。グリーンペーパーは、すべてのレジストラ希望者に 新法人が課する一連の要件についても提案している。コメントの大半は、提案さ れている基準について反対するものではないが、米国政府がそうした基準を設定 することは不適切だとするコメントが幾つも寄せられた。 レスポンス: これらのコメントを受けて、米国政府は、米国政府よりもむしろ新 法人がレジストラの最低限の基準を設定するべきだと考えている。その最低限の 基準とは、競争原理を推し進めるものであり、世界中のドメイン名レジストラ希 望者の参入を妨げる程やっかいなものではなく、インターネットユーザーにとっ てある程度の安定性を提供するものでなければならない。このようなことから、 提案された基準については、このポリシー声明には含まれないものとする。 b. レジストリ間の競争 コメント:レジストリ間に競争原理を導入することや、ドメイン名レジストリを 営利事業とすることに対しては、以下にあげる理由の幾つかを例示しながらも、 強く反対する意見が数多く寄せられた。トップレベルドメイン名は本質的に総称 的(generic)なものではないとする意見がいくつかあった。そのため、「自然独 占」として機能する傾向にあり、それらは公共財として規制され、インターネッ トコミュニティ全体を利するように運用されるべきである。他方、たとえ開始時 点でレジストリ間に競争があったとしても、ネーミングシステム間を移動するこ とができなければ、ロックインが発生し、また移動のコストも生じるため、長い 目で見れば競争原理は機能しないとする意見もあった。さらに、すべてのレジス トリが非営利となるかあるいは競争しない環境におかれない限り、新しいレジス トリが真の意味でNSIと競争することはできないだろうというコメントも寄せられ た。 また、寄せられたコメントの中には、営利目的のレジストリを追加するような実 験は危険すぎるし、いったん始動すると後戻りはできないという意見があった。 また、この問題に関連したことがらとして、営利目的の事業者は、彼らが運用す るレジストリに含まれる情報に関して権利を主張する可能性があるという懸念を 示したコメントもあった。こうした意見を持つ人々は、新法人が特定のレジスト リのライセンスを停止できるという可能性を示さなければ、レジストリにとって は、DNS管理ポリシーおよびその手続きに従うことに対するインセンティブは不十 分であろうと論じている。この論法に基づくならば、営利事業者は、ライセンス 停止に抵抗することが考えられるため、インターネットを混乱させる可能性が高 くなるだろう。 レジストリ間の競争を支持する人々は、レジストリ間のドメイン名の移動は困難 であり、ドメイン名レジストリを変えようとするユーザーに対して、レジストリ がその移動コストを課する可能性があることを認めている。しかし、彼らは、こ の移動コストが、提案されているドメイン名レジストリ間競争への移行をはばむ 十分な根拠になると考えるのは時期尚早であると警告し、合わせて、レジストリ の日和見主義に対抗するための様々な要素を引き合いに出している。これらのコ メントを寄せた人々の結論は、レジストリの日和見主義によるリスクよりも、競 争原理を導入したことによってもたらされる利用者の利益の方が大きいだろうと いうことである。また、グリーンペーパーに対して寄せられた返答の中には、提 案に含まれていたレジストリ要件に対するコメントもあった。 レスポンス:この議論の両方の立場にはそれぞれ長所がある。更なる議論や情報 がこの問題に光をあてることも可能であり、したがって、米国政府は、この問題 については新法人の下で検討を進め、最終的な行動をとることが望ましいと考え ている。しかし、米国政府としては、競争的な体制を導入すると、技術革新が進 み、消費者の選択の自由が広がり、消費者の満足も長い目で見ると増大する結果 になるという考えをもっている。それ以上に、競争による圧力は、レジストリが 独占的に動くことを思いとどまらせるための最も効果的な手段となるであろう。 さらに、寄せられたコメントへの返答として、米国政府は、新法人がgTLDレジス トリに関して適切な基準を策定し、その運用を行うべきであると考えている。こ のようなことから、以前提案した基準については、このポリシー声明には含まな いものとする。 7. 新しいgTLD の創設 グリーンペーパーでは、新法人への移行期間中、米国政府がIANAと協力して権威 あるルートに最大5つの新たなgTLDを追加する手続きをとることを提案していた。 新法人の設立が遅れる可能性があることを考慮に入れ、グリーンペーパーでは、 短期間のうちに新gTLDを創設することを意図していた。これは、レジストリ事業 に参入することを望んでいる組織に対して顧客へのサービス提供開始の機会を与 える一方で、競争を高め、政策決定者や技術コミュニティに対して情報を提供す るためである。しかし、グリーンペーパーでは、新たなTLDの追加は新法人に委ね られるのが理想的だということも述べた。 コメント:gTLDを追加するということに関しては、移行期間中の政府の介入を制 限することに非常に強い支持があることが証明された。特に、米国内外を問わ ず、寄せられたほとんどのコメントは、全世界を代表する新法人が動き始めた段 階で、その新法人がこの問題に関する意思決定を行うのがより適切であるという ものであった。この問題に関しては、手続きの検討よりもスピードの方が優先さ れるべきだとするコメントはほとんどみられなかった。しかしながら、論争が絶 えないこの問題に関する決定を、新しくて検証もされていない組織の初期段階に 委ねると、組織が割れる可能性もあると警告する人もいた。他方、多数または数 を限定しない形で新gTLDの市場を直ちに開放すべきだという意見もあった。こう した意見を持つ人々は、数多くのgTLDを追加することに技術的な障害はなく、ど のTLDが成功し、失敗するかは市場が決定すると主張している。さらに彼らは、他 のメディアにおいては商標権者が商標の希釈化から身を守るべき場所の数につい ては、作為的あるいは無作為的な制限は存在しないと指摘している。 レスポンス:新たなドメインの追加に関する方針を決定するのは非常に困難な作 業となるだろう。全世界からの意見集約に基づき、これらの意思決定をする機関 としては、新法人が最も適切であるとするコメントが数多く寄せられたが、私達 はそれに賛同するものである。したがって、多くのコメントでも支持されていた ように、米国政府がこの時点でgTLDの新設を行うことはない。 少なくとも短期的には、システムの安定性を慎重に鑑みると、gTLDの拡張を慎重 かつコントロールされたペースで行うべきである。これによって、gTLD新設の影 響を評価することが可能となり、また、道理に基づいたドメイン空間の発展も可 能となる。新しいトップレベルドメインは、競争を高めるために、また、新法人 が新しい環境においてルートサーバーシステムや共有型の登録を可能とするソフ トウェアシステムの機能を評価できるようにするために創設される可能性もあ る。 8. 商標のジレンマ 商標権者の同意なくして商標がドメイン名として使用されると、インターネット 上で提供される商品やサービスの出所について消費者が誤認する可能性があり、 また、商標権者が自らの権利を守るためには、通常は非常に高額な訴訟という手 段をとる必要がある。サイバースペースが有効な商業マーケットとして機能する ためには、企業の持つ商標が保護されるという確証が必要である。他方、イン ターネットの管理は、商標権者のみのニーズではなく、インターネットコミュニ ティ全体のニーズに応えなければならない。グリーンペーパーでは、インター ネットコミュニティ全体を利する形で、ドメイン名保有者のニーズと商標権者の 正当な懸念とのバランスをとる幾つかの方法について提案を行った。提案は、商 標権者が実際の世界において有している権利と同等の権利を与えること、透明性 を確保すること、裁判に訴えることも含めた紛争解決メカニズムを保証すること を内容としたものであった。 また、グリーンペーパーでは、遠く離れた場所にいるドメイン名登録者は、商標 権者が自らの権利を保護するために法的手段に訴えることのできる裁判管轄権の 及ばない所で権利侵害をすることができるのではないかという懸念を商標権者が 持っていることにも言及した。私達は、グリーンペーパーの中で、ドメイン名登 録者は、登録の際、ドメイン名が異議申し立てを受けた場合には、レジストリの ある場所、レジストリのデータベースが管理されている場所、または"A"ルート サーバーが管理されている場所を管轄する裁判所に付託することに合意させると いうことを提案し、それについてのコメントを求めた。 コメント: 寄せられたコメントでは、ドメイン名レジストリが、最新情報を容易 に検索できるドメイン名データベースを維持管理し、そのデータベースにはドメ イン名保有者の所在地を知るために必要な情報が含まれているようにするという ことに賛同する意見が多かった。グリーンペーパーの付属書2で提案したデータ ベースの仕様に関しては、補足的な要件を出すコメントが少数あったが、データ ベースの仕様について個別の問題をあげる者はいなかった。しかし、プライバ シー保護の文脈でこの問題を考える必要があると指摘する意見がいくつか見受け られた。 現在NSIはドメイン名登録料が実際に支払われる前にドメイン名の使用を登録者に 許しているが、そのようなビジネス慣行について反対するコメントが幾つも寄せ られた。こうしたビジネス慣行は、サイバースペースでの不法占拠を助長し、ド メイン名保有者と商標権者との紛争を増加させるものであるというのが彼らの指 摘である。彼らの提案は、ドメイン名申請者は、希望するドメイン名が使用可能 になる前に支払いを求められるようにすべきだというものである。 ほとんどのコメントは、商標権者とドメイン名登録者との紛争解決のために、オ ンラインによる紛争解決メカニズムを創設し、訴訟に代わる低費用で効率的な手 段を提供することについて賛同するものであった。グリーンペーパーでは、各レ ジストリが決められた最小限の紛争解決手続きを設けることを意図したが、同時 に追加的な商標権の保護や紛争解決メカニズムを設けることについては自由に委 ねるものとした。これに対しては、ほとんどのコメントはこのアプローチに賛同 しないというものであり、そのかわり、商標/ドメイン名の紛争を解決するため の統一的なアプローチが好ましいとするものであった。 また、ドメイン名登録後の一定期間の間に商標権者から異議申し立てが出された 場合には、そのドメイン名登録を一時的に差し止めるという案に対しては、商標 権者に対して実社会で合意が得られている範囲を越えたものであるという指摘を する人々もいた。こうした意見を持つ人々は、上記のような規定を設けると名前 の使用のために事実上の待機期間が生まれると主張している。これは、ドメイン 名保有者にとっては、将来の使用中断という状況を先取りするために、異議申し 立て期間が無事に終了するまでは名前の使用を控える必要があるからである。さ らに、こうした制度が、競合者が市場に参入するのを遅らせるために用いられる など非競争的な手段として使われる可能性があることも指摘されている。 ドメイン名を登録する時点で、ドメイン名が異議申し立てを受けた場合には、特 定の裁判所に付託することに合意させるという案は、米国内の商標権者からは支 持を受けたものの、米国外の商標権者やドメイン名登録者からは強い反対意見が 寄せられた。また、こうした提案は、米国の商標法をインターネット上の法律に しようとする不適切な企てであるという指摘が幾つも寄せられた。一方、現在の 司法制度で十分だとする意見もあった。このような立場をとる人々は、侵害者に 対する人的裁判管轄権がないままに判決が執行されてしまう可能性のあるメカニ ズムをつくると、商標権者とその他のインターネットコミュニティの人々の利害 関係の均衡を崩すのではないかと主張している。 レスポンス:米国政府は、商標権者と商標を持たないインターネットコミュニ ティの人間が参加する、バランスがとれ透明性が高い手続きの開始を世界知的所 有権機構(WIPO)に対して求めることについて、国際的な支持を求める。この手 続きとは、(1) (正当な権利を保有する商標権者間の紛争ではなく)サイバース ペースにおける海賊行為(cyberpiracy)がからむ商標とドメイン名の紛争を解決 するための統一的なアプローチについての勧告を策定すること、(2) 一般トップ レベルドメインにおいて著名商標を保護する手続きを勧告すること、(3) NAS (National Academy of Sciences)のNRC(National Research Council)などの ような独立性の高い機関による調査に基づいて、gTLD追加の影響、並びに、商標 や知的財産権に関する紛争解決手続きについて評価すること、である。調査結果 および勧告は、新法人の理事会に提出され、レジストリとレジストラのポリ シー、新gTLDの創設と導入との関係において検討される。 商標とドメイン名の紛争においては、論争となっているドメイン名に対する裁判 管轄権、並びに、法人(商標権者およびドメイン名保有者) に対する裁判管轄権 の問題がある。この文書では、商標とドメイン名の紛争における人的裁判管轄権 の問題を解決しようとするものではない。法的な側面に関する問題は、契約、抵 触法、商標など多岐にわたる。さらに、これらの様々な法律上の原則が、何が起 こるか予測できないボーダーレスなインターネットにどのように適用されるのか を決定するのは、かなりの熟考を必要とすることである。ドメイン名に対する裁 判管轄権が、代替的紛争解決機関によって行使されることについて当事者の合意 を得ることの方が、ある特定の国の人的裁判管轄権に付託することに合意を得る ことよりも議論の余地が少ないように思われる。したがって、この声明において 言及している裁判管轄権は、紛争の対象となっているドメイン名に対する裁判管 轄権に限定され、ドメイン名保有者に適用されるものではない。 レジストリとレジストラは、商標権者とドメイン名保有者との紛争に関わるべき でないと考える人々と、商標権者は常に最新の内容のデータベースにアクセスで きるようにすべきだと考える人々とのバランスをとり、私達は商標権者が自分の 商標を保護するために必要となる連絡先情報を入手できるようにするデータベー スを今後も維持するべきだと考えている。 さらに、新法人がどのような紛争処理メカニズムを導入したとしても、それはサ イバースペースにおける海賊行為(cyberpiracy)や不法占拠(cybersquatting) の問題を解決するためのものであり、特定のマークに関して正当な利害関係を 持って競合している当事者間の紛争を解決するためのものではないことは明らか にすべきである。正当な権利の競合がある場合には、適切な裁判所でその解決が 図られることになる。 改定された計画案では、ドメイン名登録者は、ドメイン名が商標権を侵害した場 合には、"A"ルートサーバーが管理されている場所、レジストリが存在する場所、 レジストリのデータベースが管理されている場所、レジストラが存在する場所を 管轄する裁判所に付託することに合意することを勧告している。商標権侵害の訴 訟を起こす場所をレジストラあるいはレジストリの存在する場所とすることによ り、米国内外を問わずすべての商標権者が自分の希望する地域で訴訟を起こすこ とができ、裁判を進めることができるようになると考えている。 また、改定された計画案では、新法人がどのようなオプションを選択するにせ よ、ドメイン名が使用可能になる前に、レジストラが申請者に対して費用の請求 をすることを勧告している。ドメイン名に関する費用を支払う前に使用できると いう制度をとると、サイバースペース上の海賊行為が助長されることになるた め、こうした制度は早急に撤廃するべきである。 9. 競争に関する問題 コメント:コメントの中には、米国政府は新法人に対して反トラスト法に対する 完全な免責措置あるいは保護措置を提供すべきであるという指摘がいくつか見受 けられた。他方、新法人が反トラストについての責任を果たすことによって、組 織的な硬直化や権限の濫用に対する大きな歯止めとなるのではないかとする意見 もあった。 レスポンス:適用される反トラスト法は、国際的なインターネットコミュニティ に対する説明責任とその保護について規定するだろう。法的な異議申し立てや訴 訟は、通常のビジネスの中であらゆる企業にとって可能性のある話であり、新法 人もこの現実を想定すべきである。 グリーンペーパーでは、新法人を標準化機関に近い原則に基づいて運営される組 織として記述した。このモデルに従えば、ポリシーの策定や実務の展開において 透明性、平等、公平を確保するための正当な手続き要件やその他適切な手続き が、新法人の作成する文書にも含まれる必要があるだろう。例えば、新法人の活 動は、この法人の影響を直接受けるすべての個人に対してオープンなものである 必要がある。また、参加に対しての不当な財政的障害があってはいけないし、ま た、技術的またはその他の要件に基づいて参加に対しての不条理な制約があって はいけない。団体および個人は、その見解と立場を表明し、その見解が検討され て参加できるようにならなければいけない。また、それによって不利な結果と なった場合には抗弁することによって参加できるようにならなければいけない。 さらに、意思決定の過程で諸方面の利害関係のバランスを反映する必要があり、 一つの立場の利害関係が優位を占めることがあってはならない。もし、新法人が この方向で進んでいくとすれば、反トラストの申し立てに対しては、それほど脆 弱ではないであろう。 10. NSIとの契約 コメント:主要なgTLDをNSIが引き続き管理することについて懸念を示すコメント が多く寄せられた。彼らの主張は、この状況が継続するとNSIが市場において不公 平な優位性を得ることとなり、gTLDの運営に関してNSIが規模の経済性を利用する ことを許すことになるというものであった。また、グリーンペーパーのアプロー チでは、主要なドメイン名に関して今後も市場でNSIの優位が定着し続け、それが 既成事実化されてしまうだろうというコメントもあった。さらに、NSIが . com、.net、.orgのコントロールを保持し続けるとすれば、新規にレジストリに参 入する組織とNSIとが互角に争うということは疑わしいとするコメントが多数あっ た。 レスポンス:NSIと米国政府との間で取り交わされている協力契約は、現在ラン プ・ダウン期間に入っている。このランプ・ダウン期間を規定する条件につい て、両者はまもなく議論を開始する。それらの議論を通じて米国政府は、NSI が 価格設定や公平なアクセスについてコミットすることを含め、具体的な行動を起 こすということに合意すると考えている。これは、ドメイン名登録における競争 を発展させることを可能にし、また、市場競争の開始で予測される状況に近づけ ることを意図するものである。米国政府は、NSI がDNSポリシーの策定および実 施、新規および既存のgTLDとレジストリに適用される規約(認可規約を含む)の 策定について、新法人の役割を認識することを含め、このポリシー声明に沿った 形で行動することに合意すると考えている。上記規約のもと、レジストリ、レジ ストラ、gTLDの運用が許可されることになる。さらに、米国政府は、NSI が現在 進行形の形で、適切なデータベース、ソフトウェア、それぞれについてのドキュ メント、技術的専門知識、その他DNS管理とドメイン名の共有登録についての知的 財産を入手可能なものにすることに合意すると考えている。 11. グローバルな観点 コメント:グリーンペーパーでは、ドメインネームシステム管理のグローバル化 を十分に進めていないという懸念を示すコメントが幾つも寄せられた。また、国 際機関にDNS管理の役割を持たせるべきだという意見もあった。他方、新法人が米 国で設立されると、インターネットに対する米国政府のコントロールを定着させ ることになるという不満も寄せられた。また、米国政府によって最高5つの新しい gTLDが設けられるということは、gTLDに対する米国組織の既存の支配をさらに強 めることになるだろうという意見もあった。 レスポンス:米国政府は、インターネットがグローバルなメディアであり、その 技術的な管理はインターネットユーザーのグローバルな多様性を反映して行わな ければならないと考えている。私達は、ドメインネームシステムの管理に対して 国際的な意見集約が確保される仕組みが必要であることを認識し、またそれを支 持するものである。米国政府がDNS管理から撤退し、インターネットの名前とアド レスの管理を行う新しい非政府組織の設置を進めるにあたって、米国政府が重要 な目的としたのは、インターネットの技術的な運営に影響する決定に関しては、 ますますグローバル化するインターネットのユーザーコミュニティの発言権を保 証することであった。 私達は、このプロセスが私達の関与を反映したものであると考える。グリーン ペーパーに対して寄せられたコメントの多くは、政府を含む外国の組織からのコ メントであった。この過程で私達の行った対話は、国内外を問わず、また政府・ 民間を問わず、すべてのインターネットユーザーに対して開かれたものであっ た。この文書で概要を述べている移行計画を実行するにあたっても、同様に国際 的に意見を求めながら進める予定である。 12. 知的インフラストラクチャ基金 1995年、NSF は、NSI がドメイン名登録者に対して年額50ドルの登録料を最初の 2年分について課金し、そのうちの30%を知的インフラストラクチャ基金(IIF) として蓄積することを承認した。この基金は、インターネットの知的インフラス トラクチャを維持・向上させるために使われるものである。 コメント:IIFに言及したコメントはごく少数にとどまった。この問題に関して寄 せられたコメントは、ドメイン名登録料の IIF 部分をそれを徴収したドメイン名 登録者に返金すべきであるという意見、あるいは、新法人の設立基金を含むイン ターネットのインフラストラクチャ開発プロジェクトに充てるべきであるという 意見のいずれかであった。 レスポンス:グリーンペーパーで提案されたように、ドメイン名登録料の一部を この基金に割り当てることは1998年の3月31日で終了した。それにともない、NSI はドメイン名登録料の引き下げを行った。IIFは、現在訴訟の対象になっている。 米国政府としては、この基金の徴収については、最近米国議会で可決され(注 19)、基金が不法に集められたという訴えは取り下げられたという立場をとって いる。しかし、この問題はまだ最終的な解決をみていない。 13. .usドメイン 現在、.usドメイン名はIANAが管理しており、地域名ベースの階層構造で、第2レ ベルドメイン空間が州と米国領に対して割り当てられている(注20)。この名前 空間は、さらに地域名で分割される。一般的に、各地域での登録はIANA に対して 委任を要請した民間組織が独占的に行っている。.us 名前空間では、商業的な名 前も幾つか割り当てを受けているが、これまでは州政府や地方政府の支所による 使用が典型的な例であった。登録業務が委任されていない地域は、IANA 自身がレ ジストラとしてサービスを行っている。 コメント:.us 空間の商業利用が奨励されれば、.com gTLD の中にユニークな識 別子を持たなければならないという圧力が緩和されるだろうという意見が多く見 受けられた。しかし、商業ユーザーや商標権者は、現在の地域名ベースのシステ ムは、商業利用にとっては、あまりにも扱いにくく、複雑であると考えている。 こうした人々は、.us TLDの利用を拡張し、新しい一般TLDに対する圧力を少しで も緩和するとともに、同じドメイン名の登録を競う米国企業とその他の企業の衝 突を減少させることを求めている。ほとんどのコメントは、.usドメイン名空間を 改善して、商業ユーザーにとって魅力あるものに再設計することを支持してい る。 レスポンス:.us ドメイン名空間を改善するための大きな機会が到来しているの は明らかである。また、現在の構造と置き換えることなく.usドメインを様々な形 で拡張することもできる。これから数ヵ月に渡って、米国政府は、民間セクター 並びに州政府および地方政府と協力して、どのようにして .usドメインを商業 ユーザーにとって魅力的なものにするかを検討する。また、商務省はこの重要な 問題に対して一般からの意見を求めることとする。 行政的な法律要件: 1998年2月20日にNTIAは、一般からのコメントを求めるため、ドメイン名登録シス テムに関する規則の提案を発表した。この提案された規則は、実体的な規制条項 に対するコメントを求めるものであった。これには次のような様々な個別要件が 含まれるが、これらに限定されるわけではない。新法人のメンバーシップについ ての要件、移行期間中に新しい一般トップレベルドメインを特定の数に限定して 創設することの要件、および、商標に関する最低限の紛争解決やその他の手続き についての要件。この文書の他の場所で記述されているように、一般からのコメ ントを受けて、これらの元々の提案は削除された。一般からのコメント、およ び、その結果生じた提案の変更に照らして、また、インターネットが引き続き急 速な技術的発展をしていることを考慮して、商務省は、ドメインネームシステム に関する実体的な規制の体制を作るよりもむしろ、ポリシーの一般声明を発表す るべきであると決断した。したがって、このポリシー声明は、実体的な規則でも なく、義務条項を含むものでもなく、そして、これ自身が法律としての強制力や 効力をもつものでもない。 商務省の立法行政規則担当法律顧問補佐官は、中小企業庁の弁護法律顧問に対 し、弾力的計画調整法(Regulatory Flexibility Act、5 U.S.C. Sec 601以下) の目的から、この件に関する提案規則が実施された場合、相当数の小規模法人に 対して重大な経済的影響を及ぼすものではないと保証した。この保証の根拠とな る事実については、提案規則と共に発表された。この保証に関するコメントはな かった。以上のように、この最終的な規則が一般ポリシー声明であることから、 最終的な規制についての弾力的調整分析は予定されていない。 この一般ポリシー声明は、事務処理削減法(Paperwork Reduction Act、44 U.S.C. ch. 35)が規定する報告または記録を必要とするものではない。しかし、 米国政府がこのポリシー声明に記されているような合意を締結しようとする場合 には、事務処理削減法による報告または記録が必要となるかどうかということに ついて決定がなされる。報告または記録が行われる場合には、NTIAはその時点 で、事務処理削減法に基づき行政管理予算局から要件についての承認を求めるこ とになる。 この声明は大統領令12866号「規制計画とレビュー」に基づく行政管理予算局のレ ビュー目的にとって意味あるものではないという決定がなされている。 改定ポリシー声明: この文書は、インターネットの名前とアドレス管理において、しっかりとした競 争を作りだし、全地球的な参加を促進することを考慮に入れた形で、ドメイン ネームシステムを民営化するための米国政府のポリシーを述べたものである。 このポリシーはインターネット・ガバナンスに関して一枚岩的な構造を提案する ものではない。私達はインターネットは一つの計画あるいは一つの組織によって 統治されるものでもなければ、一連の計画あるいは一連の組織によって統治され るものでもないと考えている。それよりもむしろ、現在進行中のインターネット の名前と番号の管理という限定的な問題をとりあげるための着実な手法を模索す るものである。 以下に記述するように、米国政府は、民間のインターネット利害関係者によって 組織される、インターネットの名前およびアドレスシステムのポリシーを管理す る新しい非営利法人について、その国際的な支持を求め、この新法人との合意締 結をすることによって、それを承認する準備が出来ている。このような合意また は理解のもと、新法人は、現在米国政府自身によって、あるいは米国政府を代表 する機関によって、あるいは米国政府との調整または合意のもと第三者によって 実行されてているドメインネームシステムの管理に関する様々な責任を引き継ぐ ものとする。米国政府はまた、上記のような合意のもとに開発されたデータベー スやソフトウェアに対して、新法人が適切なアクセスができるようにすることを 保証する。 調整的な仕組み 番号アドレスの割り当て管理は、調整ベースで行われるのが最善である。イン ターネットの番号はユニークであり、また少なくとも現時点においては、限りあ るリソースである。技術の進歩と共に、番号割り当てのシステムにおいても変更 が求められる可能性がある。これらの変更についても、調整されるべきである。 インターネット全体を円滑に動かしたいとするならば、同様に、ルートサーバー のネットワークの調整も必要である。ルートサーバーの実際の運用および維持の ような日常的な運用業務は分散化できるが、TLDおよびルートサーバーシステムの ポリシー管理およびその指導は、世界中のインターネットユーザーを代表する単 一の組織にまかせるべきである。 さらに、権威あるルートシステムにおける管理の変更やgTLDの数の変更は、世界 中のインターネットユーザーに対して多大な影響を及ぼすものである。ルート ゾーンに関連する機能において、継続性と的確な予測性を促進するために、gTLD の追加・割り当て・管理のためのポリシー策定、並びに、gTLDを受け入れるドメ イン名レジストリおよびドメイン名レジストラの設立についても調整されるべき である。 結果的に、インターネットアドレッシングのためのプロトコルパラメータの維持 および普及を調整することによって、インターネットの安定性と相互接続性を最 善の形で維持することになるであろう。しかし私達は、新法人の機能上の責任 を、現在IANAが請け負っている以上のものにするということを提案しているので はない。 必要とされる調整活動を促進するために、インターネットの利害関係者に対し て、DNS機能を管理するための新しい民間の非営利法人を共に作っていくことを呼 びかけるものである。以下の議論は、適切な管理組織の特徴について、現在の米 国政府の考え方を表明したものである。次に示すものは、適切な組織の一般的な 特徴について記述したものである。 新しいシステムに求められる原則 現在の米国政府のDNS管理を新法人に移管する手続きを確立するための合意を結ぶ という決定において、米国政府は以下の諸原則に基づき行動し、また提案される 新法人が以下の諸原則に従うということについて検討する。 1. 安定性 米国政府は、インターネットの番号および名前アドレスシステムにおける役   割をインターネットの安定性を保証する形で終えるべきである。新しい管理   体制の導入は、現在の運用を混乱させるものであってはならないし、また、   現在のルートシステムに競合するものを作ってはいけない。移行期間中にお   いても移行後においても、インターネットの安定性が、すべてのDNS管理シス   テムにおける最優先事項となるべきである。DNSのセキュリティと信頼性は、   安定性の重要な側面である。また、新しいDNS管理システムが導入される段階   で、セキュリティに関する包括的な戦略が策定されるべきである。 2. 競争 インターネットは非常に大きな部分において成功をおさめている。これは、   インターネットが分散型システムであり、それによって技術革新を促進し、   個人の自由を最大限にできたからである。可能な部分においては、競争と消   費者の選択を推し進める市場メカニズムがインターネットの管理を推進する   ようにすべきである。これによって、コストが下がり、技術革新が促進され、   多様性が助長され、ユーザーの選択肢が増えるとともに、その満足度も高ま   るであろう。 3. 民間によるボトムアップ的な調整活動 特定の管理には調整活動が必要である。このような場合、政府の規制より   も、責任ある民間セクターによる業務遂行が好ましいと考えられる。民間   による調整活動は、政府よりも柔軟であり、また、インターネットおよび   インターネットユーザーの変化するニーズに十分迅速に対応できるものと   思われる。民間による活動は、可能な限りにおいて、ボトムアップ的な統   治が反映されるようにすべきである。これは、今日までのインターネット   の発展の特徴でもある。 4. インターネットを代表するもの 新法人はインターネットコミュニティ全体の利益を追求するための民間組織   として運営されるべきである。DNS管理のための、健全で公正でかつ広く認   められるポリシーを策定することは、現在も拡大し続ける幅広い層のインタ   ーネットユーザーからの声に依存するものである。管理のための構造は、イ   ンターネットおよびそのユーザーの機能上の多様性、地理上の多様性を反映   するべきである。また、意思決定において国際的な参加を保証するメカニズ   ムを確立するべきである。 目的 新法人は、最終的には、ドメインネームシステムの調整に関連した一連の機能を 管理し実行するための権限を持つべきである。これには以下の事項について必要 となる権限が含まれる。 1)地域番号レジストリに対するIP番号ブロック割り当てのための方針を策定     し、その指示をすること 2)権威あるインターネットルートサーバーシステムの運用を監督すること 3)新しいTLDがルートシステムに追加されるための条件を決定するポリシー を監督すること 4)インターネットの全世界的な接続性を維持するために必要となる他の技術 的パラメータの割り当ての調整を行うこと 資金 新法人は、設立後に、ドメイン名レジストリ、地域IPレジストリ、その他理事会 が指定する組織から資金提供を受ける可能性がある。 スタッフ 私達は、新法人が、その移管において、これまでの継続性と専門知識を提供する よう現IANAスタッフと調整することを期待する。新法人は、新組織の管理を厳格 なものにするために必要な専門知識を確保する必要がある。 法人の設立 私達は、新法人の組織化に当たって、地域番号レジストリ、インターネットエン ジニア、コンピュータ科学者、ドメイン名レジストリ、ドメイン名レジストラ、 商業的および非商業的ユーザー、インターネットサービスプロバイダー、国際的 な商標権者、および、国際的なインターネットコミュニティの中で高く評価され ているインターネット専門家の各代表を取り込むことを期待する。これらの設立 発起人は、実質的に全世界からの代表を含むようにすべきである。 これらの機能が、現在米国において米国居住者によって実現されており、その安 定性を確保するためには、新法人は米国に本部を置き、非営利法人として米国で 法人化すべきである。しかし、この新法人は世界中からのメンバーで構成される 理事会を設置する必要がある。また、米国での法人化は、他の国の法律が適用さ れる場面において、それを置き換えることを意図するものではない。 構成 インターネットコミュニティは、すでにグローバルかつ多様であり、時間の経過 とともにその度合が益々高まっていく様相を呈している。新組織とその理事会 は、主要な利害関係者の参加によってその正当性を引き出さなければならない。 新組織は、主に番号、名前、プロトコルに関与するものであるため、理事会は、 それぞれの分野の会員制組織を代表するものとすべきである。また合わせて、イ ンターネットユーザーの直接的な利害関係を代表するものとすべきである。 新法人の理事会は、世界中のIP番号レジストリ、ドメイン名レジストリ、ドメイ ン名レジストラ、技術コミュニティ、インターネットサービスプロバイダー、お よびインターネットユーザー(商業組織、非営利組織、個人)を公平に代表する ようバランスをとるべきである。これらの構成団体が国際的なものであることか ら、私達は理事会がグローバルなインターネットコミュニティを広く代表するも のとなることを期待している。 組織の適切な文書(憲章、定款等)に概略を記述し、新法人は: 1)インターネットコミュニティの機能的、地理的多様性を代表する個人に   よって構成される初期の理事会(暫定理事会)を暫定ベースで設置する。暫   定理事会は、企業法、競争法、知的所有権法、そして制定途上にあるインタ   ーネット法を専門とする法律顧問と協議する必要がある。暫定理事会は、正   式な理事が選出され、理事会が設立されるまでの一定期間その役割を果たす   ものとする。暫定理事会の理事は、正式な理事会の設立後一定期間、新法人   の理事に就任しないものとする。 2)新法人の理事会メンバーを選出する仕組みを確立することを暫定理事会に   指示する。この仕組みは、新法人の理事会がインターネットの地理的、機能   的多様性を反映することを保証し、またインターネットの利害関係者の構成   の変化を反映できるような十分な柔軟性を備えたものでなければならない。   理事会メンバーの推薦は、可能な限りにおいて、従来のインターネットのボ   トムアップ的な統治を保つものであるようにするべきである。また、理事会   メンバーの選出については、すべての人に開かれた会員制組織から選出され   るか、あるいは、幅広い領域を代表し、また幅広い領域からの参加を保証す   るような選出プロセスの仕組みがあるのであれば、それを通じて選出される   べきである。 3)暫定理事会に対して、TLD追加のためのポリシー策定、および、今回の体   系におけるドメイン名レジストリとドメイン名レジストラの資格要件の確立   を指示する。 4)政府機関および政府間組織がインターネットユーザーとして理事会メン   バーとなる場合、あるいは投票権のないアドバイザーの立場として参加する   場合を除いて、公式政府代表が理事会に参加することを制限する。 統治 組織化のための文書(憲章、定款等)は、新法人が利己的な一団によって占有さ れることを防ぎ、また新法人が強固で高水準の経営を行うことができるような、 健全で透明性の高い意思決定手続きを基盤として統治されるよう規定すべきであ る。新法人は、互いに独立し、互いに異なり、また強力な、「名前協議会」およ び「番号協議会」に仕事を託すことができる。これらの協議会は、それぞれの権 限の範囲内においてそれぞれに関連するポリシーを策定し、レビューし、理事会 承認を求めて勧告することに対して責任を負う。このような協議会が設置された 場合、その協議会もまた、健全で透明性の高いルールと意思決定プロセスに従 い、また利己的な一団によって占有されることを防ぎ、再検討のための請願が あった場合には、オープンな手続きを提供すべきである。しかし、協議会によっ て勧告されたポリシーを承認あるいは否認する最終的な権限は、選出された理事 会メンバーが持つべきである。 運営 新法人における手続きは、公平でオープンであり、競争的な状況を支持し、ま た、特定の限られた利害関係団体による占有を妨げるようにしなければならな い。つまりこれは、意思決定手続きが健全で透明性の高いものであるべきことを 意味している。組織の意思決定の根拠については記録され、さらにその記録を一 般に公開すべきである。絶対多数による賛同またはコンセンサスを求めること は、利己的な一団による占有を妨げる上で有効である。新法人のポリシーおよび 業務が、正当な調整目的に基づいており、またその目的を促進する上で、それが 必要以上に幅広いものでない限りにおいて、反トラスト法の特別免責を受ける必 要はない。最後に、インターネットが商業的に重要であるということは、DNSシス テムの運用および権威あるインターネットルートサーバーシステムの運用が安全 で、安定しており、また強固であることを必要としている。 新法人の憲章は、その統治機関が、インターネットの利害関係者の構成の変化を 反映して発展する仕組みを規定すべきである。新法人は、例えば、理事会に反映 される代表を拡大するための請願を表明するためのオープンな手続きを設けるこ とも可能である。 商標問題 商標権者もドメイン名登録者もその他の人々も、登録されたドメイン名の検索 データベースにアクセスできるようにすべきである。この検索データベースは、 商標権者とドメイン名保有者との間で紛争が発生した場合、ドメイン名登録者と 連絡をとるために必要な情報を提供するものである(注21)。この目的のため、 以下のような情報がすべてのレジストリのデータベースに含まれ、インターネッ トを通じて誰もがアクセス可能なようにすることが、新法人の確立するポリシー によって規定されることを期待している。 −最新の登録および連絡先情報 −当該ドメイン名の登録に関する最新情報、および、これまでの一連の経過    情報 −送達のための住所 −当該ドメイン名の登録日付 −当該ドメイン名の登録に対する何らかの異議申立てが提出された日付 −新法人が、ドメイン名登録者と商標権者との間の紛争を、迅速に解決する    ために必要であると決定したその他の情報 さらに、米国政府は、新法人が以下にあげる事項に従ってポリシーを採用するこ とを提案する。 1)ドメイン名登録者は、登録時及び更新時に、登録料を支払うとともに、ド   メイン名が商標権を侵害した場合には、レジストリ、レジストリのデータベー   ス、レジストラ、または"A"ルートサーバーが設置されている場所を管轄する   裁判所に付託することに合意する。 2)ドメイン名登録者は、登録時及び更新時に、(正当な権利を保有する当事   者間の紛争ではなく)サイバースペースにおける海賊行為(cyberpiracy)や   不法占拠(cybersquatting)を行った場合には、新法人がこの種の問題解決   に適切であると認める代替的紛争解決システム(Alternative Dispute   Resolution system:ADRシステム)の決定に従い、これに拘束されることに   合意する。レジストリおよびレジストラは、そのADRシステムの決定を遵守し   なければならない。 3)ドメイン名登録者は、登録時及び更新時に、新法人によって採用される著   名商標の事前除外または事後除外の手続きを遵守することに合意する。これ   は、商標権者として指名された者が利用する場合を除いて、特定の著名商標   をドメイン名(一つまたはそれ以上のTLDで)から除外するというものである。 4)ドメイン名の登録合意、または、新法人の業務におけるいかなることで   あっても、ドメイン名登録者または商標権者が国内法に基づいて主張する権   利を制限することはできない。 移行 上記の手続きに基づき、米国政府は先に述べた目的を達成するために具体的な行 動がとられるべきだと考える。政府自身が行わなければならないものもあれば、 民間セクターによって行われる必要のあるものもある。例えば、新しい非営利組 織は民間セクターによって設立され、暫定理事会メンバーが選ばれなければなら ない。現在IANAが実現している機能の移管に関して、米国政府と新法人が合意し なければならない。多くのレジストラ/レジストリが競争する市場において、 NSI が一レジストリとなるための条件について、NSI と米国政府が合意しなけれ ばならない。ルートサーバーシステムの管理をより強固により安全にするための 手続きについての計画が立てられなければならない。米国政府と新法人との関係 を発展させ、民間セクターへのDNS管理の移行を行い、さらに管理機能の移管をし なければならない。 移行期において、米国政府は以下の事項を行う予定である。 1)ドメイン名空間に競争を導入するという目的をもって、NSIとの協力契約   のランプ・ダウンに入る。ランプ・ダウン契約のもと、NSIは以下の点に合   意をする。(a) 価格設定や公平なアクセスについてコミットすることを含め、   具体的な行動を起こす。これは、ドメイン名登録における競争を発展させる   ことを可能にし、また、市場競争の開始で予測される状況に近づけることを   意図するものである。(b) DNSポリシーの策定および実施、新規および既存   のgTLDとレジストリに適用される規約(認可規約を含む)の策定について、   新法人の役割を認識する。この規約のもと、レジストリ、レジストラ、gTLD   の運用が許可されることになる。(c) 現在進行形の形で、適切なデータベー   ス、ソフトウェア、それぞれについてのドキュメント、技術的専門知識、そ   の他DNS管理とドメイン名の共有登録についての知的財産を入手可能なもの   にする。 2)新法人との契約を締結する。その契約に基づいて、ドメイン名空間の管理   の責任は新法人が負うことになる。 3)新組織の暫定理事会が早急に検討すべき商標/ドメイン名の紛争解決その   他の問題に対する一連の勧告をまとめるために、WIPOに対し、民間セクター   および政府の人間を含んだ国際的な手続きを執り行うよう求める。 4)国際コミュニティ(利害関係のある政府を含む)と協議をする。これは国   際コミュニティが移行に関する決定をするためである。 5)IANA、NSI、IAB、その他公共セクター民間セクターの関連団体と協力して、   ルートサーバーシステムの見直し作業を行い、セキュリティ、および、高水   準のシステム管理を向上させるための方法を勧告する。この作業に基づく勧   告は、移行手続きの一部として実行されるべきであり、また、新法人はDNSの   管理と運用に関して包括的なセキュリティ戦略を策定すべきである。 ------------------------------------------------------------------------ 注記 (注1) で入手可能。 (注2)1997年7月2日の RFC とこれに対して寄せられたコメントは、 で入手可能。 (注3)このRFC、グリーンペーパー、および、両方の文書に対して寄せられたコ メントは、インターネット上の次のアドレスで入手可能:。追加コメントが1998年3月23日以降にも寄せられている。こ れらのコメントは、1998年2月20日のフェデラル・レジスタ通知で設定された締め 切りまでに寄せられたものではないが、公式記録の一部として扱われ、同じサイ トの別の場所に掲載されている。 (注4)19ページの行政的な法律要件を参照。 (注5)1992年科学先端技術法、Pub. L. 102-476 Sec 4(9)、106 Stat. 2297、 2300(42 U.S.C. Sec 1862 (a)にて規則化)を参照のこと。 (注6)Anthony Rutkowskiによって作成された、13のインターネットルートサー バーの所在地及び提携組織についての非公式な図は、 で入手可能。 (注7)これらのシステムについての詳細情報は、name.space:、AlterNIC:、eDNS: を参照のこと。これらの組織についての参照は、米国政 府によるその商業活動の是認を意味するものではない。 (注8)一般的なDNS問題、および、PostelのDNS提案に関するインターネット技術 コミュニティでの長期間に渡る議論は、newdom、com-priv、ietf、domain-policy の各インターネットメーリングリスト上で行われた。 (注9) draft-Postel-iana-itld-admin-01.txtを参照のこと。これは で入手可能。 (注10)IAHCに関する詳細情報は、 および関連リンクを 参照のこと。この組織についての参照は、米国政府によるその関連組織の商業活 動の是認を意味するものではない。 (注11)1996年12月のドラフト:draft-iahc-gtldspec-00.txt は で入手可能。 (注12)IAHC最終報告は で入手可能。 (注13)1997年7月2日のRFCに対して寄せられた一般からのコメントは を参照のこと。 (注14)議論のための資料として、1997年9月25日の Larry Irving 商務副長官の 下院科学委員会基礎研究小委員会での議会証言を参照のこと。これは で入手可能。 (注15)1997年7月2日のRFCに対して寄せられた一般からのコメントは で入手可能。 (注16)この文書は1998年2月20日にフェデラル・レジスタとして発行されてい る。(63 Fed. Reg. 8826 (Feb. 20,1998)) (注17)ここで使われている「新法人(new corporation)」という言葉は、広く 認められ確立されている企業法の基準に基づき、正式に設立される組織を指すも のである。 (注18)要約に記述されている通り、米大統領は商務長官に対し、DNSの管理につ いて、その競争を高め、また、国際的参加を促進する形で民営化するよう指示し た。これに従い、商務省は、その移管において、米国政府の役割の調整をリード することになる。 (注19)1998年補充予算承認解除法(1998 Supplemental Appropriations and Rescissions Act、Pub. L.105-174;112 Stat.58)   (注20).usドメイン空間の管理原則は、インターネットRFC 1480に記述されてい る。(http://www.isi.edu/in-notes/rfc1480.txt) (注21)これらのデータベースは、新規のレジストラおよびレジストリにとっ て、お金をかけずに潜在的な顧客をみつけることを可能とし、競争を促進し、さ らにコストを下げることで、ドメイン名保有者にも利益をもたらすものとなるで あろう。