ED.JP ドメイン名に関する FAQ 1998/07/29 JPNIC DOM-WG ED.JP ドメイン名に関しては、DOMAIN-TALK メーリングリストを中心にさまざ まな御意見、御議論を頂きまして、誠にありがとうございます。 これまでの御意見、御議論をもとにED.JP ドメイン名に関するFAQ のドラフト を作成しました。98年7月30日に予定されております「ED.JPドメイン名新設に関 するオフライン・ミーティング」において議論の参考にしていただければ幸いで す。 なお、ED.JP ドメイン名新設に関するオフライン・ミーティングに御参加でき ない方は、DOMAIN-TALK メーリングリストで、御意見をいただければ幸いです。 今後も本FAQについては、修正を加えていく予定です。 ======================================================================== Q-01 ED.JP ドメイン名を新設する理由は何ですか? A-01 日本のインターネット社会にとって重要な一部分を形成すると思われるコ ミュニティに対して、新しい属性型ドメイン名の新設が妥当であると判断 しました。 ED.JP ドメイン名を使用するコミュニティは、 o 人数が多い(2,000万人程度) o 他のコミュニティと異なる性質や要望を持っている また、 o 次世代を担うコミュニティとして重要である 費用面から見ると、ED.JPドメイン名を新設することで、 o 一括して外部組織に委任しやすいので,費用の割引・無償化などの軽 減措置が講じやすくなる さらに、教育に携わる方々の御意見やこれまでのアンケート結果から、 ED.JP ドメイン名新設の要望が非常に強かったこともあります。 この要望の背景には、 o 属性型ドメイン名新設による起爆剤的効果への期待 o 有害情報フィルタリングなどの効果への期待     o 現在使われている地域型ドメイン名が、地域によっては非常に長い      ものとなり、特に低学年児童にとって扱いにくいという認識 といったことが有るものと理解しています。 もちろん、技術的に少々誤解のあるものや理由といいにくいものもありま すが、属性型ドメイン名新設という点では相当広範囲に共通の要望が有り ました。 Q-02 ED.JP ドメイン名を利用できるのはどういう人たちでしょうか? A-02 ED.JP ドメイン名は、「主に児童・生徒などの教育を受ける人を収容する 」という位置づけとし、児童、生徒などの教育・育成を行う組織が登録す    るものとしています。 つまり、ED.JP ドメイン名を利用する対象者は、「教育を受ける児童・生 徒」、「児童・生徒の指導を行なう教師など」です。 用務員の方や給食の担当の方など教師以外の学校職員についても ED.JP ドメイン名をお使いになることを妨げませんが、これはその学校でのポリ シーとして決めて頂ければ良いことだと考えています。 Q-03 登録対象の「学校」の定義は何でしょうか? A-03 幼稚園・小中高校・特殊教育諸学校は、学校教育法に定義されているもの です。なお、分校については、一つの登録対象とみなす(本校と分校の両 方がそれぞれのドメイン名を登録することができる)ことを考えています。    また、同一校で校舎が別れている場合については、サブドメインをお使い    頂くこととを考えています。 保育所については、児童福祉法に定められる保育所を登録の対象と考えて います。 「日本国内に存在する外国人学校などで上記に準じるもの」は、例えば朝 鮮人学校やアメリカンスクールのような存在をなるべく排除しないように したいという意図です。 Q-04 明確には定義できないが広義の学校とみなされるような存在についてどの ように扱うのでしょうか? A-04 「ED.JP ドメイン名」では、その使用者として「主に児童・生徒などの教 育を受ける人を収容する」位置付けとしており、「初等・中等・就学前教 育」を受ける人々を強く意識しております。 法律を参照して定義できる以外には、朝鮮人学校やアメリカンスクールな どの外国人学校を登録対象として想定しています。 また、教育センターなどについても、この分類であるとみなしてドメイン 名を登録することができるようにするべきだという指摘があります。 不登校児童のための(草の根的)学校などは、その定義が難しく将来の検 討課題とさせて頂きたいと考えています。 この議論でのポリシーは、 o ED.JP ドメイン名の登録対象は、「明確に定義できる存在」である必 要がある。 o まず「明確に定義できる存在」から始めて、意見の分かれるところは 将来の懸案事項とする です。 Q-05 例えば,幼稚園〜高校まで一貫教育の学校法人があった場合、幼稚園・小 学校・中学校・高校と4つのED.JP ドメイン名の登録が必要になるのでし ょうか? A-05 この場合には、以下の選択が可能となります。 ・学校法人として1個の AC.JP ドメイン名を登録 ・幼稚園・小学校・中学校・高校の単位で4個のED.JP ドメイン名を登 録 ・幼稚園・小学校・中学校・高校のいずれかが代表して1個のED.JP ド メイン名の登録(学校群としての登録) もちろん、それぞれについて、地域型ドメイン名を選択することも可能で す。 Q-06 3階層フラットドメイン名構造とは何ですか? A-06 ED.JP ドメイン名の第3階層(第3レベルドメイン)に学校名をあらわす組織    ラベルを登録する構造です。例えば、「なんとか県」に「かんとか学校」    がある場合には、kantoka.ed.jp や nanntoka-kantoka.ed.jp などという    ドメイン名になります。 利点や欠点などは、以下の通りです。 ・学校名が衝突する場合に長いドメイン名になりますが、衝突しない場 合は短くなる傾向があります。 ・外部機関へ委任しやすくなるので、例えば費用優遇措置や要望が多い ドメイン名の調整が行なえる可能性があります。 ドメイン名例: yamagata-minamiyamagata-es.ed.jp (32文字) isshikichubu-es.ed.jp (21文字) aisome-es.ed.jp (15文字) Q-07 4階層ドメイン名構造とはどういうものですか? A-07 ED.JP ドメイン名の第3階層(第3レベルドメイン)に何らかの属性ラベルを    置き、第4階層(第4レベルドメイン)に学校名を登録する構造です。第3階    層の属性ラベルの候補としては都道府県名に相当するものの提案が出され    ています。例えば、「なんとか県」に「かんとか学校」がある場合には、 kantoka.nantoka.ed.jp などというドメイン名になります。 なお、都道府県に依存しない学校などの場合は全国区を表す属性ラベルを    使うという提案や都道府県短縮形の提案なども出されています。 利点や欠点などは、以下の通りです。 ・Q-06 3階層フラットドメイン名構造で長くなったドメイン名は同様に 長くなり、短かったものも長めになる傾向があります。 ・4階層とした場合、他の属性型ドメイン名は3階層であるため、階層の 違いによる混乱を生ずる恐れがあります。 ・都道府県名などの短縮形を採用する場合、課題抽出・対策検討などの      議論が改めて必要となり、実現までにしばらく時間がかかる可能性が      あります。 ・外部機関へ委任しやすくなるので、例えば費用優遇措置や要望が多い ドメイン名の調整が行なえる可能性があります。 ドメイン名例: 地域型ドメイン名の都道府県名を流用 minamiyamagata-es.yamagata.ed.jp (32文字) isshikichubu-es.aichi.ed.jp (27文字) aisome-es.nagano.ed.jp (22文字) 都道府県名の短縮形を採用 minamiyamagata-es.ygt.ed.jp (27文字) isshikichubu-es.aic.ed.jp (25文字) aisome-es.ngn.ed.jp (19文字) (都道府県名の短縮型については、ここでは仮に中谷さん・新保さんの ご提案を使わせて頂きました。詳しくはDOMAIN-TALK メーリングリス トの 2631, 2634の記事をご覧ください。) Q-08 3階層と4階層混在型ドメイン名構造というのは何ですか? A-08 ED.JP ドメイン名の構造として、3階層フラットドメイン名構造と4階層ド    メイン名構造の両方を認めるという考え方です。「なんとか県」に「かん    とか学校」がある場合には、その学校の置かれた状況によって、    kantoka.ed.jp のような3階層フラットドメイン名構造になるか    kantoka.nantoka.ed.jp のような4階層ドメイン名構造になるかが決まり    ます。 利点や欠点などは、Q-06, Q-07に加えて、以下の通りです。 ・ED.JP ドメイン名内に 3階層と 4階層のドメイン名が混在することに より混乱が生じる恐れがあります。 Q-09 教育センタ収容型ネットワークとは何ですか? A-09 都道府県や市町村特別区などが設置する教育センタの中には、その地域の    学校を接続するネットワークを構築している場合があります。このような    形態を教育センタ収容型ネットワークと呼んでいます。 このようなケースでは、ED.JP ドメイン名の第3階層に教育センタを表す    組織ラベルを置き、傘下の各学校をあらわす組織ラベルを第4階層に置く    形の4階層ドメイン名構造をとる方が自然であるという指摘があります。 Q-10 学校群の概念について説明して下さい。 A-10 学校群の定義は、今のところ次の通りです。 o 私立学校で一法人のもとに複数の学校がある場合その集合(小中高      一貫教育の学校も含む) o 一大学のもとに複数の大学付属学校がある場合その集合 o 教育センタの傘下にある学校の集合 Q-11 3階層フラットドメイン名構造では、教育センタ傘下の学校などのドメイ    ン名管理は大変ですか? A-11 物理的接続(専用線・ルータ・ハブスイッチなど)や論理的接続(DNS の 設定・ルーティング設定など)の複雑さ・難しさと、ドメイン名の管理の 複雑さ・難しさの間には、特に関係がないように思えます。 また、3階層フラットドメイン名で各学校のドメイン名を管理するのと4階 層に各学校をサブドメインで管理する手間はあまり変わらないと考えられ ます。 ただし、接続先のISP がドメイン名の単位で維持手数料などを設定してい る場合には、費用的負担がドメイン名数だけ増えることがあります。 Q-12 3階層フラットドメイン名構造では、ドメイン名の衝突する学校は長いド メイン名になり、衝突しない学校は短いドメイン名になる、という不公平 が出ませんか? A-12 不公平感が出ることは有るかもしれないと考えています。 例えば、ユニークな名前の学校が unique.ed.jp のようにできるのに対し、 ありがちな名前の学校では dokosoko-arigachi.ed.jpのようになる可能性 はあります。 他方で、例えば ED.JP ドメイン名の第3レベルドメインに地名を入れるこ とにすると、unique.dokosoko.ed.jp やarigachi.dokosoko.ed.jp のよう になり、せっかく短くすむはずのところも長めのドメイン名になる一方で、    長いドメイン名であったところはやはり長めのドメイン名になる可能性が    あります。 Q-13 ED.JP ドメイン名の第3階層に都道府県名を入れる場合、例えば chiba.ed.jp のネームサーバを管理するのは誰になるでしょう? A-13 結論に至ってはいませんが、いくつかの候補が有り得ます。 o JPNIC o 各都道府県の教育委員会 o 独立の第3者機関 いずれの場合でも、ネームサーバを管理する存在には少なくとも次のよう なことが要請されます。 o 必要な技術的・事務的能力がある。 o そのドメイン名以下に収容される組織のすべてに対して公平・公正に      サービスを提供することができる。 o ネットワークへの接続性とネームサーバ管理の永続性がある。 o 可能な限り効率的でなければならない。 地域型ドメイン名の第3階層に例えば "ED" 属性ラベルを入れる場合も同 様です。 Q-14 ED.JP ドメイン名では、ドメイン名の登録を調整する機関について議論さ    れていますが、その必要性は何ですか? A-14 ドメイン名を登録する母集合(約40,000校)がわかっており、その大部分が 2003年までにインターネット接続されることが決まっている中で、先に予 算がついた学校が短い名前を取れるといった先着順のルールは馴染まない と考えられます。また、これまでのアンケートなどの結果からもドメイン 名の調整などが望まれています。 Q-15 どうやってドメイン名の衝突を回避する調整をするのですか? A-15 まだ検討している段階ですが、 - ドメイン名衝突回避のために「推奨ドメイン名リスト(以下「推奨リ      スト」)」を全「学校」分作成する。 - このリスト通りのドメイン名であれば優先して登録する。 - 衝突のあったドメイン名などを「登録できないドメイン名」としてリ      スト(以下「登録不可リスト」)にする。 - 別の名前がよいと考える場合には、推奨リストおよび登録不可リスト と衝突しない限り先着順で登録する。 という方法を取ることができる可能性があります。 Q-16 学校の大半は地域に密着した存在だと思うのですが、これを機会に地域型 ドメイン名に都道府県名の短縮形を導入するなどの見直しをした方が良い    のではないですか? A-16 確かに地域型ドメイン名の見直しの好機であると考えます。しかし、    ED.JP ドメイン名で目指している「教育を受ける人を収容する」くくりと 地域型ドメイン名のくくりは、(重なる領域はあるが)切り口として違う のではないかという考え方で、ED.JP ドメイン名を新設する方向で検討し ています。 これは、アンケートの結果でもっとも支持を集めた方向でもあります。 http://www.nic.ad.jp/topics/archive/1998030501.html http://www.nic.ad.jp/topics/archive/1998061201.html このドメイン名を使うと想定される集団が相当に大きいことや、その一部 に地域との関連性だけでは整理できない部分があること、また、地域型ド メイン名に収容するとこの大きな集団が地域別に分割されてしまうこと、 既に今年度からドメイン名登録を希望する学校があり、地域型ドメイン名 の見直しには時間がかかるなどがその理由です。 地域型ドメイン名については、引き続き検討していきます。 Q-17 ED.JP ドメイン名があると有害情報フィルターなどに便利だという議論が ありましたが、これは正しい理解でしょうか? A-17 ED.JP ドメイン名の中のホストから「有害」サイトへのアクセスをさせな いようにするといった用途には、残念ながらED.JP ドメイン名があっても 無くてもほとんど関係がないでしょう。 ED.JP ドメイン名を使用しているホストに対してのみアクセスを許可する、    あるいは、許可しないという形で情報を公開する場合、ドメイン名でフィ    ルターをかけるという手法をとることができるかもしれません。但し、ド    メイン名を偽ってアクセスすることもできますので、過剰な期待はしない    ほうがいいでしょう。 Q-18 ED.JP ドメイン名は「主に教育を受ける人を対象にする」主旨ですが、費 用面で何らかの優遇措置をとる可能性があるのでしょうか? A-18 現段階では何も確定していませんが、次のような仮説を持っています。 (1) 原則について (1-1) 社団法人としての立場もあって、ED.JP ドメイン名の登録対象者だ けを優遇する措置は取りにくいと考えています。 現在いただいている登録手数料は、事務その他の経費として必要な 金額が算定されています。これを割引ないし無料にすることは他の ドメイン名の登録者の負担で ED.JP を運営することになります。 (1-2) しかしながら、次世代を担う人々を主な利用者と想定しているため できる限りのサポートはしたいと考えています。 (2) 新規登録、変更申請の費用について (1-1) の立場から、JPNIC が直接に登録変更申請を受けた場合には、 他のドメイン名と同じ手数料表に従う必要が有ると考えています。 他方で、現在検討中ではありますが、ED.JP ドメイン名に関する事 務などを外部に委託した場合には、JPNIC での作業量が減ることか ら手数料の割引ないし無料化ができる可能性があります。 (1-2) の観点から、この可能性を検討しています。 ========================================================================